WBC日本優勝の背景には、監督コーチ陣のメンタルサポート=カウンセリング的態度があった!
2023年WBC(ワールドベースボールクラシック)は大盛り上がりでしたね。 個人的には準決勝のメキシコ戦にて、村上選手によるサヨナラヒットが劇的に印象に残っております!
メキシコ代表監督の試合後インタビューにて、 「Japan advances, but the world of baseball won tonight.(日本が勝った、しかし野球界そのものが勝った。」 という言葉はまさにその通りだなと感じました。 2023年3月21日のメキシコ対日本戦は、これからの野球界の歴史に永遠に残り続けるでしょう。。。
さて優勝後、選手たちは各チームに戻り球場にて活躍しておりますが、 監督コーチ陣は各メディアにて大活躍中されております。 栗山監督、白井ヘッドコーチらのWBCへのコメントを振り返るなかで、 カウンセリング・メンタルケアの分野に親しいところが多く発見されました。
『選手たちの自主性を尊重』
2023年のWBCでは、ホームラン等の派手なものだけでなく、数々の名場面がありました。 中でもイタリア戦での大谷選手によるセーフティバントは、印象に残っている方も多いのではないでしょうか?
ホームラン打者でもある大谷選手が地味なバントをした理由は、 監督コーチの指示ではなく、『自身の判断・決断』によるものだったのです。
WBCの期間中、監督コーチは選手陣に対して、何かを指示することよりも、選手たちの「こうしたい!やりたいんだ!」という想いを優先して、それをサポートしていたようです。
実はこれ、カウンセリングでも同じことが言えます。 『カウンセリング』に対する一般的なイメージは、 「カウンセラーから悩みの解決の為に、アドバイスをもらえる。やるべきことを教えてもらえる。」 ということが主流となっているかもしれませんが、実はこれ、完全には正しくありません。
カウンセリングでは、カウンセラーから一方的に悩みの解決方法を指示されたり、 「こうすればあなたは良くなる!」なんてアドバイスをすることはまずありません。 ※ もしそんなことを言われたらすぐにそのカウンセラーから離れましょう。
相談者の悩みをきき、相談者の「どうなりたいのか?どうしたいのか?」をゆっくり時間をかけて見つけていき、 「そのためになにをしていけばいいのか?」を一緒に考える、それがカウンセリングです。
選手たちの想い・自主性を大切にする監督コーチのように、 相談者の想い・自主性を、カウンセラーは一番大切にしてカウンセリングを行います。
『監督コーチと選手の関係は、縦の関係ではなく、平等・対等な関係』
一昔前のスポーツ界では縦の関係、いわゆる主従関係が広渡っており、 過去には部活動での監督コーチによる選手への暴力行為や、試合中相手選手への危険なプレーが話題となっておりました。
そんななか、今回のWBCの監督コーチと選手の関係は、縦の関係ではなく、『平等・対等な関係』だったとのことです。 平等・対等な関係性だからこそ、選手は監督コーチの自分の意見や思いを伝えることができ、 その結果自主性が尊重され、試合では思い切ったプレーができたのでしょう。
これもカウンセリングと同じです。 カウンセラーは”先生”ではなく、相談者の”上の立場に立つ存在”ではないのです。 相談者との平等・対等な関係性を重視し、だからこそ相談者は安心して『ひとには話しづらいこと』を話すことができます。
権力や権威性を示したりマウントをとってくる相手に、安心して話しをすることはできないのです。
『自己顕示欲のない、黒子役に徹した監督コーチ』
WBC決勝戦、大谷選手対トラウト選手の戦いが終わり、 日本の優勝が決まって選手陣がマウンドに集まる中、そこには監督コーチ陣はいません。 その時監督コーチ陣は、ベンチで優勝の喜びをかみしめていたそうです。
人間誰しも、誰かを指示する立場やポジションにいると、自分の権威性をアピールしたくなる時があります。 強がってみたり、知ったかぶりをしてみたり、自分を大きく見せたり…。
しかし、栗原監督をはじめ、日本代表の監督コーチ陣の態度・姿勢は、実に謙虚なものでした。 それはまるで、選手たちの活躍をサポートし、自分たちは表舞台に立つことのない黒子のような存在でした。
カウンセラーは相談者の表舞台(現実世界)に登場することはありません。 カウンセリングという特別な空間でのみ、相談者と会い、話しをし、 カウンセリングが終わったら相談者の心の中でのみ存在し続けるのです。
カウンセラーの願いは、相談者が実生活で今よりも幸せな人生を歩めることです。 そのために、カウンセラーは相談者の黒子役として、相談者をサポートし続ける存在です。
WBC日本代表の監督コーチ陣には、 カウンセリングやコーチング、対人支援の分野で大切にされている態度・姿勢が多く見られました。
栗原監督や白井ヘッドコーチらは、野球界だけではなく、対人支援・精神医学の分野でもエキスパートになっていたのではないでしょうか。